2025-10-29
コラム
奥歯を失ってしまった方にとって、インプラント治療は機能回復の重要な選択肢です。しかし、「奥歯のインプラントは難しい」「前歯よりリスクが高い」といった情報を目にして、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、奥歯のインプラント治療について、なぜ難しいとされるのか、メリット・デメリット、費用、治療の流れ、リスク管理の方法まで、専門医の視点から詳しく解説します。
アイティーデンタル日暮里では、日本で唯一の生まれつき歯がない(先天性欠如)に特化したインプラント専門の歯科医院です。
些細なお悩みや不安など、当院(アイティーデンタル日暮里)までお気軽にご相談ください。
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インプラント治療とは、失った歯の代わりに人工の歯根(インプラント体)を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。インプラントは「第三の歯」とも呼ばれ、天然歯に近い機能を取り戻すことができます。
インプラントは主に3つの部品で構成されています。チタン製の人工歯根(インプラント体)を顎の骨に埋め込み、その上に連結部品(アバットメント)を取り付け、最後に人工歯(クラウン)を装着します。チタンは骨と結合する性質を持っているため、顎の骨としっかりと一体化します。
奥歯のインプラント治療は、前歯と比較していくつかの重要な違いがあります。
最も大きな違いは、噛む力の強さです。奥歯には60~70kgもの噛む力がかかり、これは前歯の約3~4倍に相当します。そのため、インプラント体にも強い負荷がかかり、より高い耐久性が求められます。
また、奥歯の解剖学的条件も治療を難しくします。上顎の奥歯部分には上顎洞という空洞があり、これに近接した位置にインプラントを埋入する必要があります。下顎の奥歯部分には下歯槽神経という太い神経が走っており、これを傷つけないよう細心の注意が必要です。
さらに、奥歯は口の奥にあるため、手術時の視野が限られ、器具の操作も難しくなります。患者さんが十分に口を開けられない場合、さらに難易度が上がります。
一方、審美性への要求は前歯ほど高くありません。奥歯は笑った時にほとんど見えないため、機能性を最優先に考えることができます。
奥歯をインプラントにすることが推奨されるケースは以下の通りです。
虫歯や歯周病、破折などで奥歯を失った場合、特に1本だけ失った場合はインプラントが第一選択となることが多いです。ブリッジにすると隣の健康な歯を大きく削る必要があるためです。
複数の奥歯を失った場合も、インプラントは有効な選択肢です。入れ歯では噛む力が天然歯の約30パーセントまで低下しますが、インプラントでは天然歯とほぼ同じ噛む力を取り戻すことができます。
また、入れ歯の違和感や不安定さに悩んでいる方もインプラントを検討する価値があります。奥歯の部分入れ歯は食事の際に動いたり、硬いものが噛みにくかったりする問題があります。

奥歯を失うと、噛む力が大幅に低下します。奥歯は食べ物を細かく砕く役割を担っており、奥歯がないと食べ物を十分に咀嚼できなくなります。
咀嚼が不十分だと、大きな食べ物の塊がそのまま胃に送られるため、胃腸に大きな負担がかかります。消化不良を起こしやすくなり、栄養の吸収も悪くなります。長期的には、胃炎や胃潰瘍などの消化器疾患のリスクも高まります。
また、よく噛めないことで食事の楽しみが減り、食欲が低下することもあります。栄養バランスが崩れ、全身の健康状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
歯を失った後、その部分の顎の骨は徐々に吸収されて痩せていきます。これは、歯根からの刺激がなくなるためです。特に奥歯は噛む力が強いため、失った後の骨の吸収も早く進みます。
骨が痩せると、将来的にインプラント治療を希望した際に、骨の量が不足して治療が困難になることがあります。骨移植などの追加処置が必要になり、治療費や治療期間が増加します。
また、骨の吸収が進むと顔貌にも変化が現れます。顎のラインが崩れ、老けた印象を与えることがあります。
奥歯を失うと、隣接する歯や噛み合う相手の歯に悪影響が及びます。
失った歯の両隣の歯は、支えを失って傾いてきます。歯が傾くと噛み合わせが乱れ、さらに他の歯にも負担がかかります。また、傾いた歯と歯の間には食べ物が詰まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
さらに、失った歯と噛み合っていた対合歯(上下で対応する歯)は、噛む相手がいないため、徐々に伸びてきます。これを挺出といい、噛み合わせのバランスを大きく崩す原因となります。
このように、1本の奥歯を失うことが、連鎖的に他の歯の喪失につながる可能性があります。
奥歯を失うと、顔の形にも変化が現れることがあります。
奥歯がないと、その側では十分に噛めないため、反対側ばかりで噛む癖がつきます。これを片側咀嚼といい、顔の筋肉の使い方に左右差が生じます。長期的には、顔の歪みや左右非対称につながります。
また、奥歯がないと噛み合わせの高さが低くなり、顎の位置が変化します。これにより、口元のしわが増えたり、ほうれい線が深くなったりして、老けた印象を与えることがあります。
アイティーデンタル日暮里では、日本で唯一の生まれつき歯がない(先天性欠如)に特化したインプラント専門の歯科医院です。
お電話(03-6806-8828)やLINE、WEB予約フォームでも24時間お問い合わせを受け付けています。

奥歯には60~70kgもの強い噛む力がかかります。これは体重に匹敵する力であり、インプラントにとっては大きな負担となります。
この強い力に耐えるためには、インプラント体の選択、埋入位置の設定、上部構造の設計など、全てにおいて高度な技術が必要です。インプラント体が適切に骨と結合していない状態で強い力がかかると、インプラントが動揺したり、骨との結合が失われたりするリスクがあります。
また、噛み合わせの調整も非常に重要です。インプラントに過度な力がかからないよう、対合歯との接触を微調整する必要があります。調整が不適切だと、インプラント周囲の骨に負担がかかり、長期的な予後に影響します。
奥歯部分の顎の骨は、解剖学的に複雑な構造をしています。
上顎の奥歯部分には上顎洞という空洞があります。上顎洞は鼻腔とつながっており、副鼻腔の一つです。歯を失うと骨が吸収され、上顎洞が下方に拡大することがあります。このような場合、インプラントを埋入するための骨の高さが不足します。
骨の高さが不足している場合には、ソケットリフトやサイナスリフトという骨造成術が必要になります。これらは上顎洞の底部を持ち上げて、骨を増やす処置です。高度な技術を要し、治療期間も延長します。
下顎の奥歯部分には下歯槽神経という太い神経が走っています。この神経は下唇や顎の感覚を司っており、損傷すると麻痺などの重大な合併症を引き起こします。インプラントを埋入する際には、神経との距離を正確に測定し、安全なマージンを確保する必要があります。
奥歯は口の奥にあるため、手術時の視野が限られます。前歯と比べて直接目で確認しにくく、照明を当てても十分な明るさが得られないことがあります。
また、患者さんの口の開け方にも制限があります。開口量が小さい場合、手術器具を適切に操作することが困難になります。特に、ドリルで骨に穴を開ける際には、正確な角度と位置が重要ですが、視野と操作性の制約により難易度が上がります。
さらに、唾液の分泌も問題となります。奥歯部分は唾液腺に近く、手術中に唾液が多く分泌されます。唾液は術野を濡らし、視界を妨げるだけでなく、骨とインプラントの結合にも悪影響を与える可能性があります。
上顎の奥歯インプラントでは、上顎洞炎のリスクがあります。インプラント手術時に上顎洞の粘膜を傷つけると、細菌感染が起こり、上顎洞炎を発症することがあります。症状としては、鼻づまり、鼻水、頬の痛みなどがあります。
下顎の奥歯インプラントでは、下歯槽神経損傷のリスクがあります。インプラントが神経に接触したり、手術時に神経を圧迫したりすると、下唇や顎の感覚が麻痺することがあります。多くの場合は一時的ですが、永久的な麻痺が残るケースもあります。
これらのリスクを最小限に抑えるためには、術前のCT検査による精密な診断と、経験豊富な歯科医師による慎重な手術が不可欠です。

奥歯のインプラント治療費用は、一般的に1本あたり30万円から40万円程度が相場です。この費用には、術前の検査費用、インプラント体、手術費用、アバットメント、上部構造(人工歯)の費用が含まれます。
具体的な内訳は以下の通りです。術前検査(歯科用CT)が1万円から3万円、インプラント体本体が10万円から15万円、手術費用が10万円から15万円、アバットメントが3万円から5万円、上部構造(クラウン)が8万円から12万円程度です。
奥歯の場合、強い噛む力に耐えるため、強度の高い素材が使用されます。上部構造には、ジルコニアや金属冠などが選択されることが多く、材質によって費用が変動します。
奥歯の骨が不足している場合、骨造成術が必要になることがあります。上顎の場合はソケットリフトやサイナスリフト、下顎の場合はGBR(骨誘導再生療法)などの処置が行われます。
ソケットリフトは比較的侵襲が少ない方法で、追加費用は5万円から10万円程度です。サイナスリフトはより大規模な骨造成で、追加費用は10万円から20万円程度かかります。
GBRでは、人工骨や自家骨を用いて骨の量を増やします。費用は範囲や使用する材料によって異なりますが、5万円から15万円程度が一般的です。
これらの処置が必要な場合、総額で50万円から60万円以上になることもあります。
一般的なインプラント治療は保険適用外(自費診療)となります。奥歯のインプラントも基本的には全額自己負担です。
ただし、非常に限定的なケースでは保険適用が認められることがあります。具体的には、腫瘍や外傷などにより広範囲の顎骨欠損がある場合で、特定の医療機関(入院用ベッドが20床以上ある病院など)でのみ保険適用となります。
一般的な歯科クリニックでは保険適用のインプラント治療は行えません。したがって、ほとんどの奥歯インプラント治療は自費診療として行われます。
保険適用外であっても、インプラント治療費用は医療費控除の対象となります。1年間に支払った医療費が10万円を超えた場合、確定申告をすることで所得税の一部が還付されます。
例えば、年間所得500万円の方が奥歯のインプラント治療に40万円を支払った場合、所得税率20パーセントとすると、(40万円-10万円)×20パーセント=6万円が還付される計算になります。
医療費控除を受けるためには、治療費の領収書を大切に保管し、確定申告の際に医療費控除の明細書とともに提出します。通院のための交通費(公共交通機関)も控除対象に含まれます。
アイティーデンタル日暮里では、日本で唯一の生まれつき歯がない(先天性欠如)に特化したインプラント専門の歯科医院です。
無料お見積もりも可能ですので、お気軽にご相談ください。
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奥歯インプラント治療の第一歩は、初診とカウンセリングです。この段階では、患者さんの悩みや希望を詳しくお聞きし、インプラント治療が適しているかを判断します。
口腔内の状態を確認し、失った歯の状況、残っている歯の健康状態、噛み合わせの状態などを総合的にチェックします。また、全身の健康状態についても確認します。糖尿病や骨粗鬆症、心疾患などの持病がある場合、インプラント治療に影響を与える可能性があるためです。
カウンセリングでは、インプラント治療の仕組み、メリットとデメリット、他の治療法との比較、治療期間、費用などについて詳しく説明します。特に奥歯の場合、噛む力が強いことによるリスクや、上顎洞・下歯槽神経との関係についても説明します。
治療方針が決まったら、精密検査を行います。奥歯インプラント治療において、CT検査は必須です。
歯科用CTによる3次元的な画像診断では、顎の骨の厚みや高さ、質、形態を正確に把握します。特に重要なのは、上顎洞までの距離や下歯槽神経の位置の確認です。CT画像により、どの位置にどの角度でインプラントを埋入するか、骨造成が必要かどうかなどを詳細に検討します。
また、対合歯(噛み合う相手の歯)の状態や、噛み合わせの高さなども確認します。これにより、最終的な上部構造の形態を計画できます。
精密検査の結果をもとに治療計画を立て、インプラント埋入手術を行います。
手術当日は、局所麻酔を行います。奥歯の場合、麻酔が効きにくいことがあるため、十分に麻酔が効いていることを確認してから手術を開始します。不安が強い方には、静脈内鎮静法を併用することもできます。
手術では、歯茎を切開し、顎の骨を露出させます。次に、専用のドリルで骨に穴を開け、インプラント体を埋入します。奥歯部分で骨の量が不足している場合には、インプラント埋入と同時に骨造成を行います。
インプラント体を埋入したら、歯茎を縫合して手術は終了です。手術時間は1本あたり30分から1時間程度ですが、骨造成などを併用する場合にはもう少し時間がかかることがあります。
手術直後は多少の腫れや痛みが出ることがありますが、処方される痛み止めと抗生物質を服用することでコントロールできます。
インプラント埋入手術後は、インプラント体と骨が結合するまで治癒期間が必要です。上顎で約3~4ヶ月、下顎で約2~3ヶ月が目安となります。
治癒期間中は、インプラント部位に過度な力がかからないように注意する必要があります。硬いものを噛んだり、インプラント部位を強く押したりすることは避けます。ただし、他の歯で通常通り食事をすることは問題ありません。
骨造成を行った場合は、骨が十分に再生するまでさらに3~6ヶ月の期間が必要になることがあります。
定期的にクリニックで経過観察を行い、順調に結合が進んでいるかを確認します。レントゲンやCTで骨の状態をチェックし、必要に応じて治療計画を調整します。
治癒期間が終わり、インプラントと骨がしっかりと結合したことが確認できたら、最終的な人工歯の作製に入ります。
まず、歯茎を小さく切開し、インプラント上部のカバーを外します。そこにヒーリングアバットメントという部品を取り付け、周囲の歯茎が理想的な形に整うのを待ちます。この期間は1~2週間程度です。
歯茎の形が整ったら、型取りを行います。奥歯のインプラントでは、噛み合わせの記録も重要です。対合歯との接触を適切に設定するため、様々な角度から噛み合わせをチェックします。
これらのデータをもとに、歯科技工士が最終的な上部構造を作製します。奥歯では、ジルコニアや金属など、強度に優れた材料が使用されることが一般的です。
上部構造が完成したら、アバットメントとともにインプラントに装着します。噛み合わせを細かく調整し、違和感がないか、他の歯と調和しているかを確認します。
インプラント治療は、最終的な人工歯を装着したら終わりではありません。長期的に維持するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。
インプラント周囲炎という、インプラント周囲の歯茎や骨が炎症を起こす病気があります。これは天然歯の歯周病に相当する状態で、放置するとインプラントを支える骨が溶けてしまい、最終的にはインプラントが脱落してしまうこともあります。
特に奥歯は噛む力が強いため、インプラント周囲の組織に負担がかかりやすく、炎症のリスクも高まります。毎日の適切なブラッシングと、定期的なプロフェッショナルケアが重要です。
歯科医院での定期メンテナンスでは、インプラント周囲の清掃、噛み合わせのチェック、レントゲン撮影による骨の状態確認などを行います。メンテナンスの頻度は3ヶ月から6ヶ月に1回が推奨されます。

奥歯をインプラントにすることには、以下のようなメリットがあります。
奥歯のインプラント最大のメリットは、天然歯に近い噛む力を取り戻せることです。インプラントは顎の骨にしっかりと固定されているため、入れ歯のように動いたり外れたりする心配がありません。
硬い食べ物も問題なく噛むことができ、食事の楽しみが大きく向上します。お肉やせんべい、りんごなど、入れ歯では噛みにくかった食品も、インプラントなら快適に食べられます。
しっかり噛めることで、食べ物を細かく砕くことができ、消化吸収も良くなります。栄養バランスの改善にもつながり、全身の健康維持に貢献します。
インプラントは人工歯根として顎の骨の中に埋まっており、噛む力が骨に伝わります。この刺激によって、骨の吸収を防ぎ、骨の量を維持することができます。
奥歯を失ったまま放置すると、骨が急速に痩せていきます。しかし、インプラントを入れることで、天然歯があった時と同じように骨に刺激が伝わり、骨の健康を保つことができます。
骨の量を維持することは、他の歯の健康にとっても重要です。顎の骨全体の健康が保たれることで、残っている歯の寿命も延びる可能性があります。
奥歯を1本失った場合の治療法として、ブリッジという方法があります。しかし、ブリッジでは両隣の健康な歯を大きく削る必要があります。一度削った歯は元には戻らず、削ることで歯の寿命が短くなるリスクがあります。
インプラント治療では、失った歯の部分にのみ人工歯根を埋め込むため、隣接する歯に一切手を加える必要がありません。健康な歯を守りながら、失った歯を回復できることは、長期的な口腔内の健康を考えた場合、非常に大きなメリットです。
適切にメンテナンスを行えば、インプラントは非常に長期間使用できます。研究によると、10年後のインプラント生存率は90パーセントから95パーセント以上とされています。
ブリッジの平均寿命が約7~8年、部分入れ歯が約4~5年とされていることと比較すると、インプラントの耐久性の高さがわかります。初期費用は高額ですが、長期的に見れば非常にコストパフォーマンスの高い治療法と言えます。
奥歯のインプラントは強い噛む力を受けますが、適切に設計されたインプラントであれば、十分に耐えることができます。定期的なメンテナンスと、過度な力を避けることで、長期的に安定した状態を保つことができます。
奥歯を失うと、噛み合わせのバランスが崩れます。残っている歯に過度な負担がかかり、他の歯の喪失につながることもあります。
インプラントで奥歯を回復することで、噛み合わせのバランスが整います。全ての歯に均等に力が分散されるため、残っている歯への負担が軽減されます。
また、噛み合わせのバランスが良いと、顎関節への負担も減ります。顎関節症の予防にもつながり、快適な口腔機能を維持できます。

一方で、奥歯インプラントには以下のようなデメリットとリスクもあります。
奥歯のインプラント治療の最大のデメリットは、治療費が高額であることです。1本あたり30万円から40万円程度の費用がかかり、骨造成が必要な場合はさらに追加費用が発生します。
保険適用外のため全額自己負担となり、経済的な負担は決して小さくありません。医療費控除を活用することで実質的な負担は軽減できますが、それでも高額な出費であることに変わりはありません。
ただし、長期的な視点で見ると、ブリッジや入れ歯は数年ごとに作り直す必要があり、その都度費用が発生します。インプラントは初期費用は高額ですが、適切にメンテナンスすれば長期間使用できるため、トータルのコストで考えると必ずしも高いとは言えない場合もあります。
インプラント治療のもう一つのデメリットは、治療期間が長いことです。インプラント体を埋入してから最終的な人工歯を装着するまでに、上顎で約3~4ヶ月、下顎で約2~3ヶ月かかります。
骨造成を併用する場合には、さらに期間が延びます。骨が十分に再生するまで待つ必要があるため、治療開始から完了まで6ヶ月から1年近くかかることもあります。
一方、ブリッジであれば数週間、入れ歯であれば1ヶ月程度で治療が完了します。早く歯を入れたいという希望がある場合には、インプラント治療の長い期間は大きなデメリットとなります。
インプラント周囲炎は、インプラント周囲の歯茎や骨が炎症を起こす病気です。天然歯の歯周病に相当する状態で、プラーク(歯垢)中の細菌が原因で発症します。
特に奥歯は清掃が難しく、ブラッシングが不十分になりやすい部位です。インプラント周囲炎を発症すると、インプラントを支える骨が溶けてしまい、最終的にはインプラントが脱落してしまうこともあります。
予防するためには、毎日の適切なブラッシングと、定期的な歯科医院でのメンテナンスが不可欠です。また、喫煙はインプラント周囲炎のリスクを大幅に高めることが知られています。
上顎の奥歯インプラントでは、上顎洞炎のリスクがあります。手術時に上顎洞の粘膜を傷つけると、細菌感染が起こり、鼻づまりや頬の痛みなどの症状が現れます。
下顎の奥歯インプラントでは、下歯槽神経損傷のリスクがあります。インプラントが神経に接触したり圧迫したりすると、下唇や顎の感覚が麻痺することがあります。多くの場合は一時的ですが、永久的な麻痺が残るケースもあります。
これらのリスクを最小限に抑えるためには、術前のCT検査による精密な診断と、経験豊富な歯科医師による慎重な手術が不可欠です。

奥歯を失った場合の治療法には、インプラント・ブリッジ・入れ歯の3つの選択肢があります。それぞれの特徴を比較表でご紹介します。
| 比較項目 | インプラント | ブリッジ | 入れ歯(部分入れ歯) |
| 治療期間 | 3~6ヶ月 | 2~4週間 | 2週間~1ヶ月 |
| 費用(1本) | 30~40万円(自費) | 1~2万円(保険)/30~40万円(自費) | 5,000~1万円(保険)/10~30万円(自費) |
| 噛む力 | ◎ 天然歯とほぼ同じ | ○ 天然歯の約60% | △ 天然歯の約30% |
| 耐久性 | ◎ 10年以上 | ○ 7~8年 | △ 4~5年 |
| 隣の歯への影響 | ◎ 影響なし | ✕ 削る必要あり | △ バネをかける負担 |
| 違和感 | ◎ ほぼなし | ○ 少ない | △ 大きい |
| 清掃性 | ◎ 良好 | △ やや難しい | △ 取り外して清掃 |
| 取り外し | 不要(固定式) | 不要(固定式) | 必要(着脱式) |
| 手術の必要性 | 必要 | 不要 | 不要 |
| 骨の保存 | ◎ 保たれる | ✕ 吸収が進む | ✕ 吸収が進む |
これらの治療法をどのように選択すべきでしょうか。
インプラントが適しているのは、しっかり噛みたい方、長期的に安定した状態を希望する方、隣接する歯を守りたい方、経済的に余裕がある方、十分な骨の量がある方(または骨造成に同意できる方)です。
ブリッジが適しているのは、早く治療を完了したい方、インプラント手術に不安がある方、隣接する歯にすでに大きな詰め物や被せ物がある方です。
入れ歯が適しているのは、できるだけ費用を抑えたい方、手術を避けたい方、全身疾患などでインプラント手術が難しい方、複数本の歯を失っており広範囲の治療が必要な方です。
最終的には、患者さんの価値観、経済状況、口腔内の状態、全身の健康状態などを総合的に考慮して、歯科医師と相談しながら最適な治療法を選択することが重要です。
治療法にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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奥歯インプラント治療の成否は、担当する歯科医師の技術力と経験に大きく左右されます。
日本口腔インプラント学会や国際インプラント学会などの専門医資格を持っているかどうかを確認しましょう。これらの資格は一定の症例数と試験に合格することで取得できるもので、インプラント治療の専門的知識と技術を持っている証明となります。
また、年間のインプラント治療症例数も参考になります。特に奥歯のインプラント症例を多く手がけているかどうかは重要なポイントです。奥歯は前歯と異なる技術が必要なため、豊富な経験が成功の鍵となります。
奥歯インプラント治療において、CT検査は必須です。通常のレントゲンでは2次元的な情報しか得られませんが、CTでは3次元的に骨の状態を把握できます。
特に重要なのは、上顎洞までの距離や下歯槽神経の位置の正確な測定です。これらの解剖学的構造物との距離を正確に把握することで、安全にインプラントを埋入できます。
CT検査が完備されているクリニックを選ぶことは、安全なインプラント治療を受けるための重要な条件です。
奥歯の骨の量や質は、インプラント治療の成否を左右する重要な要因です。術前に十分な骨の量があるか、骨の質は良好かを確認する必要があります。
骨が不足している場合、骨造成術を併用することでインプラント治療が可能になります。ソケットリフト、サイナスリフト、GBRなど、適切な骨造成法を選択し、十分な骨の量を確保してからインプラントを埋入することが重要です。
骨造成を行わずに無理にインプラントを埋入すると、長期的な予後が悪くなるリスクがあります。
奥歯インプラント治療では、上顎洞炎や神経損傷などのリスクがあります。これらのリスクを最小限に抑えるためには、適切なリスク管理が必要です。
まず、術前の綿密な治療計画です。CT画像をもとに、インプラントの埋入位置、角度、深さを正確に決定します。コンピューターシミュレーションを用いて、最適な埋入計画を立てるクリニックもあります。
次に、手術中の慎重な操作です。ドリリング時には、骨の温度上昇を防ぐため、十分な注水を行います。また、神経や上顎洞に近接する部位では、特に慎重に進めます。
術後の経過観察も重要です。感染の兆候や異常な痛みがないか、定期的にチェックします。異常が見られた場合には、早期に適切な対処を行います。

上顎洞は、上顎骨の中にある空洞で、副鼻腔の一つです。鼻腔とつながっており、空気で満たされています。上顎洞の底部は、上顎の奥歯の歯根に非常に近接しています。
歯を失うと骨が吸収され、上顎洞が下方に拡大することがあります。このような場合、インプラントを埋入するための骨の高さが不足します。骨の高さが5mm以下の場合、通常のインプラント埋入は困難です。
骨の高さが不足している場合、上顎洞底挙上術という骨造成術を行います。代表的な方法が、ソケットリフトとサイナスリフトです。
ソケットリフトは、インプラントを埋入する穴から上顎洞の底部(シュナイダー膜)を持ち上げ、その空間に骨補填材を填入する方法です。比較的侵襲が少なく、インプラント埋入と同時に行うことができます。骨の高さが3~5mm程度ある場合に適応されます。
サイナスリフトは、歯茎を大きく切開し、側方から上顎洞にアプローチする方法です。上顎洞の底部を広範囲に持ち上げ、多くの骨補填材を填入できます。骨の高さが3mm以下の場合や、複数本のインプラントを埋入する場合に適応されます。
上顎洞底挙上術では、上顎洞の粘膜(シュナイダー膜)を傷つけるリスクがあります。粘膜が破れると、そこから細菌感染が起こり、上顎洞炎を発症することがあります。
上顎洞炎の症状としては、鼻づまり、鼻水、頬の痛み、頭痛などがあります。発症した場合には、抗生物質の投与や、場合によっては上顎洞の洗浄などの処置が必要になります。
予防するためには、術前にCTで上顎洞の状態を確認し、炎症がないことを確認します。また、手術中は粘膜を慎重に扱い、破損を防ぎます。万が一破れた場合には、適切に修復してから骨造成を行います。

下歯槽神経は、下顎の中を走る太い神経で、下唇や顎の感覚を司っています。下顎の奥歯の歯根の下方を通っており、インプラント埋入時には注意が必要な解剖学的構造物です。
下歯槽神経が走っている管を下顎管といい、その位置は個人差があります。一般的には、下顎骨の下縁から10~15mm程度の位置ですが、骨の吸収が進んでいる場合には、より上方(歯槽頂に近い位置)に存在することがあります。
インプラント埋入時に下歯槽神経を傷つけると、下唇や顎の感覚が麻痺することがあります。多くの場合は一時的な麻痺で、数週間から数ヶ月で回復しますが、永久的な麻痺が残るケースもあります。
麻痺の症状としては、下唇のしびれ、感覚の鈍麻、ピリピリとした異常感覚などがあります。食事や会話に支障をきたすこともあり、生活の質を大きく低下させます。
神経損傷を防ぐためには、術前のCT検査で下歯槽神経の位置を正確に把握することが最も重要です。神経までの距離を測定し、安全なマージン(2mm以上)を確保できる位置にインプラントを埋入します。
骨の高さが不足していて安全なマージンを確保できない場合には、短いインプラントを使用したり、神経を移動させる手術(神経移動術)を併用したりすることもあります。
また、手術中はドリリングの深さを慎重にコントロールします。ストッパーを使用したり、頻繁にレントゲンで確認したりするなど、神経に到達しないよう細心の注意を払います。

手術中は局所麻酔を行うため、痛みを感じることはほとんどありません。奥歯の場合、麻酔が効きにくいこともありますが、十分に麻酔が効いていることを確認してから手術を開始します。
手術後は、麻酔が切れると痛みや腫れが出ることがあります。奥歯の手術は前歯より侵襲が大きい傾向があるため、やや痛みが強く出ることがあります。しかし、処方される痛み止めでコントロールできる程度です。通常、3日から1週間程度で痛みはほぼなくなります。
インプラント埋入後の治癒期間中は、埋入したインプラント部位で噛むことは避ける必要があります。しかし、反対側の歯や、他の健康な歯で噛むことは問題ありません。
奥歯を1本失った場合、反対側の奥歯で食事をすることができます。ただし、片側ばかりで噛む癖がつくと、噛み合わせのバランスが崩れることがあるため、できるだけ両側を使うように心がけます。
硬い食べ物や、噛み切るのに力が必要な食べ物は、治癒期間中は避けた方が無難です。治癒期間が終わり、最終的な人工歯が装着されれば、通常通りしっかり噛むことができます。
適切なメンテナンスを行えば、奥歯のインプラントは10年以上、場合によっては一生涯使用できる可能性があります。研究によると、10年後のインプラント生存率は90パーセントから95パーセント以上とされています。
ただし、奥歯は噛む力が強いため、前歯よりもインプラントにかかる負担が大きくなります。そのため、定期的なメンテナンスと、過度な力を避けることが特に重要です。
インプラントの寿命を左右する要因には、毎日の口腔ケア、定期的なメンテナンス、喫煙習慣、歯ぎしりや食いしばりの有無、全身疾患のコントロールなどがあります。
喫煙者でもインプラント治療を受けることは可能ですが、成功率は非喫煙者と比べて低下することが知られています。喫煙はインプラントの失敗率を約2倍に高めるという研究結果もあります。
喫煙がインプラントに与える影響には、血流の悪化による傷の治りの遅れ、免疫機能の低下による感染リスクの増加、骨とインプラントの結合の阻害などがあります。
そのため、インプラント治療を受ける際には、少なくとも手術前後2週間は禁煙することが強く推奨されます。理想的には、治療期間中は完全に禁煙し、治療後も禁煙を継続することが望ましいです。

奥歯のインプラント治療は、失った奥歯の機能を天然歯に近い状態で取り戻すことができる優れた治療法です。
奥歯インプラント治療を成功させるためには、経験豊富で専門知識を持つ歯科医師を選ぶこと、CT検査による精密な診断を受けること、解剖学的リスク(上顎洞、下歯槽神経)を適切に管理すること、そして治療後の毎日の適切な口腔ケアと定期的なメンテナンスが重要です。
奥歯を失ってしまった方、入れ歯の不快感に悩んでいる方は、一人で悩まずに専門医に相談することをお勧めします。適切な診断と治療により、しっかり噛める快適な生活を取り戻すことができます。
アイティーデンタル日暮里では、スイス留学でインプラント治療を学んだ院長が、高度な専門知識と技術で奥歯のインプラント治療を提供しています。日本口腔インプラント学会指導医・専門医が在籍し、歯科用CTによる精密な診断と、リスクを最小限に抑える安全な治療を行っています。
「Your Smile. Our Passion.」をモットーに、すべての患者さんと丁寧に向き合い、最適な治療を提案することで、笑顔で楽しく食事ができる生活を取り戻すお手伝いをいたします。
詳しくは、アイティーデンタル日暮里の公式ウェブサイトをご覧ください
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